SWCCグループは、主にエネルギー・インフラ、通信コンポーネンツの2つの領域において事業を展開し、ここに新たなデジタルサービス事業など社会課題を解決するための新たな事業を加えて企業価値を高めるポートフォリオ経営を行っております。この根底には、長年インフラを支える企業として培った強い技術力、堅実なものづくりの精神と現場力、堅実な財務運営があります。これに加えて、2019年より導入したROICによって経営の軸を変えることで、グループの資本効率を上げ、企業価値の向上を一貫して貫いてきました。
この経営戦略の実行は、ROICスプレッドと売上成長を軸としたポートフォリオ経営を徹底し、成長事業、キャッシュカウ事業、課題事業、刷新事業、新規事業を明確にし、5象限の特徴に応じて投資の考え方を変え、投資効率とキャッシュフローを管理することによってなされるものです。このような方針の中で、人的資本戦略もポートフォリオ経営を中心とした経営戦略に沿って考えられ、その実行力を中長期的に支える基盤として位置付けられております。
こうした考え方のもと、当社グループでは人的資本戦略として特に以下の4点を重要な方針として位置付け、施策を推進しています。
① 事業ポートフォリオを支える人材ポートフォリオの構築による価値創出の強化
② 事業戦略に適合したリーダー人材の育成と強化
③ ものづくりの高度化を支える現場力の強化、報酬の適正化
④ AI、IoTを使った業務変革人材の育成
① 事業ポートフォリオを支える人材ポートフォリオの構築による価値創出の強化
事業ポートフォリオで成長事業、キャッシュカウ事業、課題事業、刷新事業、新規事業を支えるには、どのようなスキルを持った人材が何人必要なのか、という人的資本計画を中計の事業方針に従って構築し、現状の人的資源の分布との差分を鑑み教育やOJTによって是正を図ります。特に成長事業に位置付けられる人材の数、スキルの厚みを増し、事業成長に対応できる人材層を作ってまいります。
この対策として、従業員のスキルマトリックスを作成してスキルの分布を把握し、事業戦略とのギャップを測り、適切な教育を進めてまいります。当社グループでは専門知識講座、e-ラーニングなどさまざまな学ぶ機会を整えております。また、ジョブチャレンジ制度や社内公募制度など、個人の学ぶ意欲、キャリアパス形成を重視いたします。更に、グローバル展開に適応できる人材の確保も重要な課題です。この教育の一つとして、「海外トレーニー制度」を設けたほか、海外対応可能な人材を積極的に採用してまいります。また、社会の困りごとを解決するという観点で、新規事業にも積極的に取り組んでいくため、課題発見力や挑戦心に富んだ人材の発掘、育成、挑戦へのサポートも行ってまいります。
② 事業戦略に適合したリーダー人材の育成と強化
事業ポートフォリオの中で成長事業、キャッシュカウ事業、課題事業、刷新事業、新規事業を率いるリーダーに必要とされる能力は異なるとの観点から、それぞれに必要な資質を抽出し、人材ポートフォリオの中で選抜された人材に教育の機会を与えることでリーダーシップ能力を鍛えております。選抜研修としてSDセミナー(30歳前後の社員から選抜し、指名委員会、社外取締役を中心にセミナーを構成)、次々世代経営塾(40歳前後の社員から選抜し、経営の基礎知識を学ぶセミナー)、次世代経営セミナー(40歳代後半以上の社員から選抜し、次期役員候補を選抜するためのセミナー)を2019年から開催しており、リーダーに求められる力の習得に力を入れております。
③ ものづくりの高度化を支える現場力の強化
当社グループの基盤はものづくりとサービスであり、生産現場、工事現場を支える人材の確保と維持は重要な課題です。このような考えのもと、ものづくりを支える現場人材の教育部門として、2022年に「モノつくり人財開発センター」を設立いたしました。この部門でSPS教育キャラバンを作って全拠点を廻り、技能教育の強化を図るなどの対策を行っております。また、工事部門の人員強化のため、施工人材センターを設立し、協力会社からの派遣人材も含めて工事技能を学ぶことができるようにしました。社内の工事人材の確保と離職率の低減も事業成長のために重要であり、雇用体系、報酬体系も含め改善を進めてまいります。このようにさまざまな部門が協力してものづくり、サービスに従事する人材ポートフォリオの強化を図ってまいります。
④ AI、IoTを使った業務変革人材の育成
これからの業務改革はAI、IoTの活用無くしては成り立ちません。当社は2021年より「デジタルイノベーション推進室」を設立し、業務改革に役立つデジタル技術の普及とこれにかかわる人材を増やす施策を行ってきました。また、2025年にはDX基本方針を発表し、DX1.0(基幹業務システムの再構築による経営に寄与するDX)、DX2.0(工場業務を効率化するDX)、DX3.0(AIを使った圧倒的な業務効率化)の3本柱の方針のもと、システムを整えるとともに人材開発を行ってきました。現在ではこの考え方が製造現場まで浸透し、さまざまなツールを使え、業務効率化に積極的に取り組む人材が増えております。また、現場作業へのIoTの浸透については「2035ファクトリープロジェクト」を2024年に立ち上げ、工場の自動化と省力化、ロボット導入の推進を行ってまいりました。今後も、DX経営を支える人材の教育と強化を進めてまいります。