Advance [case05]大規模なデータセンタの需要拡大を受け、大容量通信と配線工事の効率化を可能にする間欠接着リボン「e-Ribbon®」

Advancecase05

大規模なデータセンタの需要拡大を受け、
大容量通信と配線工事の効率化を可能にする
間欠接着リボン「e-Ribbon®
2021年06月10日公開

直面する課題と向き合い、光ファイバの大量敷設を支える

データセンタにおけるサーバやネットワークスイッチの処理速度は「ムーアの法則」で発展しながら数年ごとに入れ替えられるが、インフラとなる光ファイバケーブルは、数世代先の光伝送技術に耐えられるシングルモード光ファイバが大量に敷設される。光ファイバケーブルは通信パフォーマンスを決定する重要なキーパーツだが、可能な限り細径・軽量・高密度であることが求められている。SWCCが提供するe-Ribbon®は、間欠接着リボンとして超細径高密度光ケーブルに使われるが、大量の光ファイバを収納でき、配線敷設工事の作業性を向上させる点から、今大きな注目を集めている。その特徴と優位性について紹介する。

インターネットの普及に伴い、データセンタに流入するデータ量は増加の一途を辿り、その膨大な量のデータ処理に、数十万台のサーバが稼働した巨大なネットワーク、ハイパースケールデータセンタが重要な役割を果たすようになってきた。高い処理能力と膨大なストレージ容量を持ったハイパースケールデータセンタは情報通信インフラにおける要であり、今後さらなる急成長が見込まれる。

一方でデータセンタ事業者は、常に設備投資と運用コスト削減の厳しい競争にさらされている。限りあるスペースにより多くの光ファイバを速く効率的に敷設するという喫緊の課題と向き合わなければならない。また、先進国における工事人件費高騰といった圧力も無視するわけにいかない。このようなとき、高密度かつ効率的な配線敷設工事を可能にする超細径高密度光ケーブルが活躍する。

データセンタ

間欠接着リボン「e-Ribbon®」は、二つのニーズを満たす

データセンタの物理層インフラが進化するほど、光ファイバの配線本数は多くなり、大量の光ファイバを接続する際に煩雑な作業が増えてくる。そのため、一本一本の光ファイバを何本か束ねて一括被覆した光テープ心線が使われるようになったが、作業性は向上する反面、幅方向への湾曲に弱く、光ケーブル内に大量に収納する際は外径が大きくなるなど問題があった。
一方、単心の光ファイバを大量に光ケーブルに収納することは可能だが、それぞれの光ファイバを接続する際にスムーズな作業は望めない。そこで、当社は光学設計技術を応用して単心光ファイバのように変形しやすい柔軟な特性を維持しつつ、多くの光ファイバが精密に連結した間欠接着リボン「e-Ribbon®」を開発した。e-Ribbon®はケーブル内に大量に収納しても光ファイバ自身に加わるひずみを抑え、接続作業を行う際は多心一括接続を可能とする。ケーブル細径化と配線時の作業性向上という二つのニーズを同時に満たすことができる。

e-RibbonR

最速かつ最も効率的、輸送費削減、メリット満載のe-Ribbon®

ケーブル細径化と作業性の向上は、配線敷設工事のコストに直結する。既設管路などの狭い空間に大量の光ファイバを敷設する場合、追加の新設管路が必要となる場合があるが、細径化したケーブルであれば不要となる。また、細径化により1本のドラムに長尺に巻き付けることも可能だ。例えば、12㎞の敷設を行う場合、e-Ribbon®を使った超細径高密度光ケーブル(=e-Ribbon®ケーブル※1)は、 従来と比べて半分以下の接続箇所で済む。さらに、e-Ribbon®ケーブルは多心一括接続ができるので作業スピードが速く、最速かつ最も効率的な方法で配線敷設工事を進められる。
それだけでなく、トラックに積載するドラムの数も減らせるので輸送コスト面でもメリットがある。積載するトラック台数を減らせれば、輸送時のCO2低減にも効果的だ。

※1:e-Ribbon® Slot-less Cableの場合

e-RibbonR
12kmの敷設工事を行う場合、半分以下の接続箇所で済む
12kmの敷設工事を行う場合、半分以下の接続箇所で済む
12,000心km分の光ケーブルを10tトラックで輸送する場合、1台で済む
12,000心km分の光ケーブルを10tトラックで輸送する場合、1台で済む

間欠接着リボンの量産化を実現したSWCCのノウハウ

当社は、長年通信キャリア向けに光ファイバケーブルの開発を手掛けており、2012年から間欠接着リボンを使用した超細径高密度光ケーブルを提供している。この製品は光ケーブルの最終形とも言われ、当社を含む日本メーカが今世界で大きな存在感を示している。日本メーカの中でも当社は、製品供給の経験を積み重ねる過程で間欠接着リボンの生産性向上のノウハウを磨き、それを強みとして通信インフラの発展に貢献してきた。
生産性向上を実現した当社の独自性の一つに、生産設備の設計はすべて自社で行っている点が挙げられる。当社は蓄積されたエンジニアリング技術を基に重要なパーツはすべてゼロから設計し、オリジナルでつくった機械で高速でもほとんどロスを出さない生産を可能にした。

e-RibbonRを生産する仙台事業所光工場
e-Ribbon®を生産する仙台事業所光工場

ニューノーマル時代の先のICT社会を見据え、e-Ribbon®の普及を目指す

ビジネスでは「接触機会を減らす取り組み」としてリモートワークが急速に普及し、一般生活では「巣ごもり需要」の増加から、ゲーム、動画配信、ネットショッピングやフードデリバリなどが浸透するなど、時代はニューノーマルへと進化した。こうした社会の変化は今後も急速に進み、インターネットやWebアクセスの速さ、スムーズさがますます不可欠になり、大容量データはデータセンタのインフラにますます集中する。ハイパースケールデータセンタでは当面光ファイバを増やすことに重点が置かれ、細径・高密度の光ケーブルが活躍する場面は広がっていく。
当社は、これまでの国内におけるe-Ribbon®ケーブルの実績を基に、今後ますます拡大する海外データセンタの光ファイバ大量敷設について、顧客のニーズに応える細径・軽量・高密度の「e-Ribbon® Slot-less Cable」「e-Ribbon® Loose Tube Cable」で貢献する。一般的な光ファイバよりも外径の細い200㎛光ファイバもラインナップに加え、変形しやすいが精密に光ファイバが連結したユニークな技術間欠接着リボン「e-Ribbon®」を世界に広めていく。

e-RibbonR

※e-Ribbon®はSWCC株式会社の商標です。

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