社外取締役メッセージ

社外取締役座談会

SWCCの企業変革と成長戦略を経営のモニタリングの立場から支える4名の社外取締役 監査等委員に、現状の評価とさらなる価値向上への課題についてそれぞれの視点から語ってもらいました。

社外取締役座談会

中立的な立場から、専門的な知見を生かしてChange & Growthの推進に貢献

■社外取締役として求められていること

坂倉:社外取締役に求められる役割は、コーポレートガバナンスの観点からの経営執行の監視・監督、そして各自の経験や知見を生かした中長期的企業価値向上への貢献です。私は、総合商社のファイナンス部門や独立系M&Aアドバイザリー会社でのCFOとしてのキャリアから、財務戦略や資本政策、成長へのM&A戦略などに関する提言が期待されていると捉えています。

市川:私は、ビールメーカーの生産部門を中心に業務経験を積んできました。生産分野以外にも研究開発、品質管理、エンジニアリング、商品開発にも関わってきました。こうした知見を活用し、幅広い領域についての経営執行業務の監視・監督、意見の提言を行っています。また先の品質問題の対応にも関わり、適切な改善取り組みを支援しています。

椋野:私はB to Bを中心とした素材メーカーに長く勤務し、経営計画、知財・法務、マーケティング業務などに関わってきました。また通算16年にわたり、欧州、米国、中国の海外現地法人の経営責任者を務めてきました。これらの経験から、国 内外の事業環境や同業社の動向分析をもとにした「SWCCの要素技術を生かした事業モデル」の追求、それを確立するための仕掛けづくりといった点で提言していきたいと考えています。

西村:私には、人材育成・キャリア開発を中心とした経験と、企業経営者としての見識、さらにIT分野における知見を生かした提言が期待されています。電線業界に携わるのは初めてですが、人的資本に関する業務経験を生かして、長谷川社長のもと、力強く進められているSWCCの改革を支えていきたいと思います。

■監査等委員会の運営、取締役会の実効性

坂倉:当社は、機関設計を監査等委員会設置会社としています。監査等委員である私は、取締役としての役割と監査の役割を兼務する形ですが、常勤監査等委員や事務局スタッフの働きにも助けられ有機的に活動できていると感じています。これまでは国内の事業が主な監査対象でしたが、コロナ禍も収束してきましたので今後は中国・ベトナムなど海外事業についても活動を強化していきます。

市川:SWCCの監査等委員会は、非常にフランクだという印象です。社内の情報をオープンに提供していただけるため、実質的な議論ができています。形式的に社外取締役を交えた議論をするのではない点を、とても高く評価しています。

(社外取締役 監査等委員 市川 誠一郎)

坂倉:SWCCは、さまざまな場面で、社外取締役の意見を聞いて、それを取り入れようとする企業です。経営会議は執行側の意思決定機関ですが、社外取締役も会議に出席し、単なるオブザーバーではなく積極的に意見を述べアドバイスすることで、意思決定のサポートに努めています。さらに、執行役員以上の全員が缶詰になって経営の重要課題を議論する役員合宿(取締役(社外取締役含む)、執行役員、およびフェローの全員が参加して、SWCCグループのさまざまな経営課題について集中的かつ建設的に意見を取り交わす議論の場)にも参加するなど、会社の重要課題をタイムリーに把握することで、取締役会の実効性向上に一役買っています。

(社外取締役 監査等委員 坂倉 裕司)

■指名・報酬委員会の活動

坂倉:SWCCでは役員の指名・報酬という面でも、指名・報酬委員会のもと、効果的な仕組みを目指した変革が行われています。「株主の目線」と「経営者の目線」を合わせるという観点から、譲渡制限付株式の付与など業績連動型の報酬制度が導入されました。さらに持続可能な企業成長が重要視されるなかで、ESG関連指標を役員報酬に反映させる施策も進めています。

市川:ESG関連指標と役員報酬は、緒についたばかりです。現在は、再生可能エネルギーの社内導入率、温室効果ガス排出量、休業災害度数率に対する達成度が指標となっていますが、社会の要求に合わせて、そのウエイトや内容は変動すると思います。SWCC独自のESG視点を持って、例えば脱炭素社会に向けた電力市場のニーズに対応するSICONEX®(サイコネックス)、SICOPLUS®(サイコプラス)の事業成長なども、指標として考えられるのではないでしょうか。

坂倉:取締役の指名については、社長の任期、求められる資質などの議論を積み重ねてきており、SWCCとしてのサクセッションプランの基本的な考え方がまとまっています。経営者の指名には、業務実績に留まらず、リーダーシップや先見性、実行力なども含めて、さまざまな観点から検討する必要があります。特にCEOについては、「会社をサステナブルに成長させ株主価値を高めるサクセッションはどうあるべきか」を考えて実施していく必要があります。

市川:私はSWCCのサクセッションプランは、素晴らしいと感じています。育成プランから綿密に計画され、着実に実行されているからです。候補者は、明確に定められたプロセスを経て絞り込まれますから、株主の皆さまにも明快で不安を感じさせない後継者選びができると思います。

SWCCの企業価値を高めて、持続的な成長を実現するために

■経営改革の成果と、次の変革

坂倉:当社の経営改革が2019年度から本格的にスタートしてから4年が経過しました。その間に企業価値の算定の根拠となるEBITDAは、2019年3月末の90億円台から2023年3月末には140億円と約1.5倍に増えました。自己資本比率も28.7%から43.7%に、DEレシオも1.34から0.61へと大幅に改善しました。これら経営改革の結果として、株主還元を拡大できたのは大きな成果でした。ただ、変化が激しく予測が困難なVUCAの時代に、成長性を高めていくには、さらに改革を継続していかなくてはなりません。例えば、DXの推進による生産性や業務効率の向上は重要課題であると考えます。

椋野:SWCCは今、グループ経営体制の変革時期にありますから、DXを駆使して業務標準化・効率化を追求するには、通常時に増して良いタイミングといえます。DXの成否は、社員一人一人にかかっています。各職場に配置されるデジタル適性の高い人材への期待も大ですが、DX推進を「彼らの仕事」とせず、社員全員が「自分の仕事」と感じさせる意識改革が必要です。

(社外取締役 監査等委員 椋野 貴司)

西村:企業のDXには、2つの側面があります。一つは業務の改善・効率化をデジタル技術を活用して進めること、もう一つはデジタル技術で新しい価値を生み出すことです。これらを加速し成功させるカギは、椋野さんの意見にもあるように、「グループ全社員がDXを推進していくのだという強い意識を持つこと」です。私としては現場の社員たちとできるだけ接点を持ち、一人一人へのDXへの意識の浸透を注視していきたいと考えます。

市川:DXが必要とされるのは、現場、特に生産現場にほかなりません。人手不足が予測されて、特に技能職が高齢化し、人材の獲得やノウハウの継承が困難になります。それは絶対に避けられないところですから、直ちに生産現場のDXに着手する必要があると思います。

■Change & Growth達成への課題

坂倉:SWCCが、継続的にGrowthを成し遂げるには、ROIC経営のさらなる浸透による事業ポートフォリオの見直しと高収益ビジネスへの転換が必要と考えています。高機能巻線のように非常に高い競争力を持つ製品を有していますが、それらの利益率を高めていくことが求められているのではないでしょうか。今後の事業投資のなかで、事業範囲を川下に拡大するなど、付加価値を高めるM&Aを、国内に限らず東南アジアなどの海外を含めて検討する必要があると思います。

椋野:海外事業は、自身の経験に照らして、より実践的な考え方を共有できるのではないかと思います。中国、ベトナムおよび東南アジア各国でのビジネスは、中央・地方政府や主要ローカル企業との関係構築が鍵となることが多く、SWCCだけの力で進めるのは困難なケースもあります。また、「技術パッケージ」としてのソリューション提案を求められるなど、第三者の製品・サービスの活用も必要になることもあります。他社との提携やM&Aなどの検討、あわせて海外拠点の人材・組織の強化を図ることで、現地の実情に応じた戦略・戦術が展開できれば大きな成長が期待できると考えます。

市川:私は、さらなる成長への基盤として品質管理体制に触れておきます。SWCCはこの2年間、グループ会社の品質問題に端を発して、品質管理体制の改善を進めてきました。不適切な行いは、「機会」「動機」「正当化」の三つが揃うと起こるとされています。SWCCでは、業務のデジタル化による「機会」の減少、人材配置の柔軟化、品質意識の浸透プロジェクトによる「動機」「正当化」を生まないようにする働きかけが順調に進んでいます。私は社外取締役として改善への活動を見てきましたが、良い方向へと変化していると思います。品質体制は、一朝一夕に確立することは難しいことかもしれませんが、できるだけ早急に改革が進捗するよう支援したいと思います。

西村:私は、人的資本の面についてお話します。SWCCでは、人材の多様性への取り組みについては「女性活躍推進」から「ダイバーシティ推進」へ枠を広げ、着実に前進しています。今後より人材の多様性を高めるには、人材採用がポイントとなりますが、SWCCが応募者から選んでもらえる存在にならなくてはいけません。SWCCを新しいことに挑戦していて面白そうな会社だと感じてもらえるように、社員が生き生きと自分らしく輝き、活躍できる企業づくりに向けて、積極的に提言していきたいと思います。

(社外取締役 監査等委員 西村 美奈子)

坂倉:SWCCが次の段階へと飛躍していくためには、社会のニーズを先取りした成長のビジョン&ストーリーを打ち出し、それを実現し続けることで、長期的に支持をいただける、ファンともいえる株主の皆さまを増やしていくことが大きな力となります。これからの社会に必要な事業を展開するSWCCの企業価値をさらに高めるとともに、多くの方々に理解していただけるよう、取締役・執行役員はじめ多くの社員の皆さんと協力していきたいと考えています。

ページトップへ