社外取締役座談会

厚みを増した新経営体制のもと"Growth"の実現に貢献
社外取締役
監査等委員
椋野 貴司

社外取締役

西村 美奈子

社外取締役
監査等委員
坂倉 裕司

社外取締役
監査等委員
馬場 久美子

社外取締役

内藤 宏治

■新社長就任について

坂倉: 企業価値を持続的に成長させるため経営トップのサクセッション問題を重視し、指名・報酬委員会では早くからサクセッションプランについて議論を重ねてきました。そして、2023年春より具体的な選考プロセスを開始しました。
複数の候補者に課題を与え、指名・報酬委員と当時の長谷川社長とで複数回の面談を行い、2024年に小又氏をCOOに指名しました。そして1年間、小又氏のCOOとしての実力を確認し、次のリーダーとしての資質を備えていると判断したことから、2025年4月、小又氏が代表取締役CEO社長に就任しました。小又氏はリーダーシップ、先見性、実行力を持ち、変革をさらに加速させるのにふさわしい人物であると評価しています。

椋野: 小又氏が示した方向性は最も説得力があり、納得感を伴うものでした。ステークホルダーの期待に応えるとともに、市場からも評価されると判断し、選定しました。

西村: 小又氏は、変革の流れを継承しつつ事業をさらに発展させる実行力、そして従業員の意見をまとめる力を備えていると評価しました。投資家からは、長谷川前社長の退任をリスクと捉える声もありましたが、小又氏のCOOとしての発言や取り組みに対する外部からの評価は高く、私たちも社長としてふさわしいと判断しました。

■会長・社長の役割分担とそれぞれへの期待

西村: 小又社長は「成長牽引事業のさらなる強化」「第2の成長事業の確立」「DX経営の加速」の3点を掲げています。これらを着実に実行するとともに、ソリューション提案型の価値創造企業への変革を進め、ソリューション事業を将来の第3の柱へ育ててほしいと考えています。
一方、長谷川会長には、当社の対外的な活動に注力いただき、外部からの評価をさらに高めるとともに、産業界における当社のプレゼンスを一層向上させることを期待しています。

椋野: 小又氏は副社長として長谷川社長の考えを実行されてきましたが、これからは、長谷川路線を継承しながら、執行 のトップとして臆することなく、小又色を打ち出してほしいと思います。
長谷川会長は、非常に苦しい状況にあった当社をここまで変えてきて、当社の強いところ、弱いところを全て知り尽くし、 変革過程における従業員の気持ちも深く理解されています。

坂倉: 長谷川会長には、10年といった長期スパンで当社の先を見据えた議論を取締役会でリードしていただくこと、さらに、これまでの実績により、市場からの注目度が非常に高いことから、市場とのコミュニケーションを担っていただくことを期待しています。
今回、小又社長が就任し、長谷川会長が取締役会議長となりましたが、単純な社長交代ということではなく、企業価値そして株主価値を高める観点から、経営陣のさらなる強化に向けたチャレンジと捉えています。2030年のビジョンの実現に向けて、経営トップの厚みを増すことができました。

■新任社外取締役の就任について

内藤: 私は、ウシオ電機(株)で、主に海外事業に携わり、2019年より5年間にわたり社長を務めました。同社は7割が海外売上の会社ですが、海外グループ会社が自立性を持ちながらも中央がしっかり統括するフレームワークを構築し、グループ全体の効率を高めることに尽力しました。当社がBD(Business Development)戦略を推進するにあたりこれまでの経験を活かして貢献したいと思います。

(社外取締役 内藤 宏治)

馬場: 私は、(株)東芝で海外営業からスタートし、デジタル分野の生産・販売・技術におけるアライアンスに関わってきました。また、JFEエンジニアリング(株)経営管理部門の責任者、JFEホールディングス(株)では常勤監査役を務めました。
当社の社外取締役に就任してまず驚いたのは、社外取締役全員が事業運営に携わった経験をお持ちであることです。経営の実務経験、深い見識を持っているメンバーで構成されていることは当社の特性に合致し、議論の厚みが増していると感じます。また、堅実で実務・実利に即して合理的であり、オープンな企業風土で、キャリア採用の方も多く活躍されているのが印象的です。

(社外取締役 監査等委員 馬場 久美子)

椋野: 馬場さんは上場企業の監査役を長く務められており、ガバナンスに精通されています。内藤さんは社長の重責も担っており、重みが異なります。これまでは社外取締役と向き合いながら議論を重ねてきているので、他の社外取締役とは異なる社長像、見方があるのではないでしょうか。

西村: 馬場さんが加わったことで、8名の取締役のうち3名が女性となり、政府目標を大きく上回りました。さまざまなご経験、知見をお持ちですので、議論の厚みが増していくものと期待しています。また、「ダイバーシティ推進プロジェクト」(愛称:SWCCarat)の活動にも参画いただき、誰もが平等に能力を最大限に発揮できる風土づくりをともに進めていきたいと考えています。
内藤さんも企業トップとしてのさまざまなご経験をお持ちであり、また、場をとても明るくしてくださる方なので、これまで以上に自由闊達な議論ができるようになると期待しています。

(社外取締役 西村 美奈子)

■指名・報酬委員会の取り組みについて

坂倉: 指名・報酬委員会の委員は社外取締役3名で、オブザーバーとして会長と社長が入り、基本的には月1回、開催しています。役員報酬については、これまで業績連動報酬比率を徐々に増やし、現在は最高で55%となっており、連動比率は営業利益およびROICの達成率、ESG関連指標の達成率をKPIとしています。今後、検討すべきテーマとして、固定報酬の水準見直し、または業績連動報酬比率を高めるかといったことや、連動指標について、株主目線で例えばTSR(株主総利回り)やROE、中長期のインセンティブを検討していく必要があります。
また、2025年には執行役員が17名に増員されましたが、適正な経営執行体制についても今後議論していきたいと思います。

椋野: 当社にはサクセッションプランが3段階あります。30歳前後の主任クラス向けの「SWCC Director's Seminar」 (SDセミナー)は、通常の人事部主体の社員研修と異なり、選抜された社員が受講しています。このような研修を30歳前後から始めることは、本人のモチベーション向上につながり、非常に有意義です。さらに、さまざまな業界で実務経験を積んだ社外取締役が講師を務めるため、異業種について学びつつ、当社のユニークさや立ち位置への理解を深めることができます。 また、40歳前後を対象とした「次々世代経営塾」、40~50歳代を対象とした「次世代経営者育成研修」では、さらに選抜の色合いが高まり、人数が絞られます。
さらに、私たち社外取締役は、オブザーバーとして経営会議に出席し、次世代経営者育成研修に参加している将来の役員候補の社員が、どのようなポジションを占め、どのように発言しているのかを直接見ることができます。こうした観点も踏まえ、指名・報酬委員会での候補者選定に臨むことが可能となっています。

(社外取締役 監査等委員 椋野 貴司)

■取締役会における議論について

西村: 取締役会の議論で印象に残ったのは、「TOTOKUの買収」「e-Ribbonの海外展開」「中国の現地法人ガバナンス体制について」です。TOTOKUの買収は当社の歴史の中で最大の案件で、高い頻度で進捗の報告があり、どのように関係部門と融合していくのかについて多くの議論を行いました。e-Ribbonの海外展開については時間をかけた印象がありますが、関係者が粘り強く交渉を重ね、良い方向に向かっています。一方、中国事業では持分法適用会社の合弁パートナーの業績悪化に伴い発生した損失を受け、現地法人のガバナンス強化が喫緊の課題として議論されました。取締役会においても、海外事業に対する考え方や取り組み姿勢の改善について指摘をし、現在改善が進められています。

■取締役会の実効性について

西村: 人権に関しては、SWCCグループ人権方針が2024年1月に制定されました。サプライチェーンの中で当社の目が届きにくい調達先の人権や労働問題について、今後も議論を継続していくことが必要です。さらに、労働問題については、残念ながら小さな災害は無くならず、ルールの整備に加え、事故が起こりにくい、働きやすい環境の整備に向けて議論しました。
決議事項のフォローアップについては、半年ごとに報告していただくようになり、必要に応じて、各セグメントの担当者による説明も行われるようになりました。

坂倉: 取締役会の実効性については評価が高くても、実質な中身が重要です。昨年、私は社外取締役として英国の投資家と面談しましたが、取締役会では実際にどのような議論が行われているのか、最後は誰が決めているのかといったことを問われました。当社の取締役会では充実した議論なされ良い方向に向かっていますが、馬場さん、内藤さんが加わったことによって、議論がさらに充実することを期待します。

(社外取締役 監査等委員 坂倉 裕司)

■SWCCの次なる成長に向けて

西村: 当社は「Change and Growth」のもと、これまで"Change"に注力してきました。国内外のデータセンター向け高付加価値製品が順調に成長するなか、BD戦略の一環として実現したTOTOKUのグループ入りにより、第2の柱となる通信・コンポーネンツ事業が打ち出され、"Growth"の方向性が一層明確になりました。さらに、当社が掲げる「ソリューション提案型の価値創造企業」への進化に向けても、エネルギー・インフラ分野で先行的に始めているSmart Stream事業の展開を通じて、その姿が着実に形になりつつあります。

椋野: TOTOKUの事業は、当社の成長戦略において必ず成功へ導かなくてはなりません。その一方で、経営全体のバランスを見据え、電力インフラ事業やTOTOKU事業以外にも視野を広げ、安定的に収益を生み出せる事業を的確に選別していくことが重要です。

馬場: 今後さらなるBD戦略を推進するにあたって、当社の技術・知財・営業・マーケティングに関する全体マップをテーブルの上に並べ、可視化したうえで議論を進めるプロセスの構築が必要と感じました。これにより戦略の納得性が高まり、遂行の確実性も一層強まるはずです。

内藤: ROICでこだわる部分と、そうではない部分を明確に分けて考える必要があると思います。
また、海外展開に向けて十分な人的資本を確保できるのかを含め、海外で勝てる戦略を取締役会でモニタリングしていきたいと思います。

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