昭和電線ケーブルシステム株式会社
冨士電線株式会社
高速伝送を可能にする車載用ツイストペアケーブルの開発
~IEEE 802.3ch Multi-Gig Automotive Ethernet PHY 10GBASE-T1適合~
昭和電線ケーブルシステム株式会社(本社:神奈川県川崎市、代表取締役社長:川瀬幸雄)と冨士電線株式会社(本社:神奈川県伊勢原市、代表取締役社長:兒玉喜直)は、2021年1月に最新の車載Ethernet規格※1に適合した車載用ツイストペアケーブルを開発しました。本ケーブルは、4GHzまでの高周波数帯に対応する伝送性能、信号間の到着のズレが極めて小さい低Skew(スキュー)化、耐ノイズ性能を実現したことによって、自動運転の高機能化に求められるあらゆる情報やデータの高速・大容量伝送が可能となります。
今後は製品化を進め、年内の市場参入、2022年の量産化を目指します。
※1 車載Ethernet規格:2020年に制定された「IEEE 802.3ch Multi-Gig Automotive Ethernet PHY 10GBASE-T1」(以下Multi-Gig Ethernet)
▉ 背景
自動車はさまざまな部品がECU(Electronic Control Unit)にて制御され、内部には多くのセンサーが搭載されています。今後、運転支援システムの高度化が進むにつれ、ECUとセンサー間のデータ通信量が飛躍的に増加すると予想されており、車内のデータを伝送するネットワークにおいても高速化が求められています。
車載ネットワークの規格では伝送速度に応じた標準化が進んでおり、車載Ethernet規格は車内ネットワーク規格の一つです。最新の規格は、伝送速度10Gb/sと、最も高速な規格となり、本ケーブルはこの規格を満たしていることを確認しました。
▉ 製品の特徴
① 高周波数帯まで良好な伝送性能
開発したツイストペアケーブルは、Multi-Gig Ethernetで要求されている最大4GHzまでの高周波数帯において、規格に満足するIL(Insertion Loss:挿入損失)やRL(Return Loss:反射減衰量)といった伝送性能を有しています。
IL性能においては、10GHzの周波数までサックアウト(損失の急激な悪化現象)が無く、RL性能でも大きな反射が無い良好な伝送性能を確認しています。(図1、図2参照)
② 低Skewの実現
Skewとは複数の導体で信号を伝送する際の、導体間での信号の到着時間差を表します。Skewは低いほどよく、高速伝送において必須の性能となり、本ケーブルは、対内Skewが10ps/m以下と従来のケーブルに比べてとても小さいことを確認しています。
③ 耐ノイズ性能
車の内部にはモーターやセンサーなどノイズ発生源が多数存在し、配線箇所によってはケーブルに耐ノイズ性能を必要とします。本ケーブルは遮へいテープと編組遮へいを組み合わせた二重遮へい構造により、優れた耐ノイズ性能を有しています。
▉ 製品の構造・性能
ケーブル写真
ケーブル断面図
図1. Insertion Loss(IL)性能
図2. Return Loss(RL)性能
表1.ケーブル構造、性能(一例)
構造 | 導体、対数 | 26AWG軟銅線×1対 |
絶縁体 | ポリエチレン | |
押え巻 | プラスチックテープ | |
遮へい1 | 遮へいテープ | |
遮へい2 | 錫めっき軟銅線編組 | |
シース | 耐熱ビニル 又は 耐熱ポリオレフィン | |
外径 | 約4 mm | |
性能 | 特性インピーダンス | 標準100(Ω) |
対内Skew | 10(ps/m)以下 | |
Insertion Loss(IL) 図1参照 |
1.65(dB/m)以下 (2000MHz) 2.06(dB/m)以下 (3000MHz) 2.43(dB/m)以下 (4000MHz) |
|
Return Loss(RL) 図2参照 |
20.0(dB)以上 ( 480MHz) 13.8(dB)以上 (2000MHz) 12.0(dB)以上 (3000MHz) 12.0(dB)以上 (4000MHz) |
【本件に関するお問合わせ先】
~照会先~
昭和電線ケーブルシステム株式会社
事業戦略統括本部 新事業開拓部 マーケティング課
TEL:044-223-0532 FAX:044-223-0555
~報道機関お問い合わせ先~
昭和電線ホールディングス株式会社
事業戦略統括本部 経営企画部 IR・広報課
TEL:044-223-0520 FAX:044-223-0547