Advancecase03

細くて強い、しかも高い導電率
モビリティと医療の分野で活躍が期待される
昭和電線の銅銀合金線

銅銀合金が使われるモビリティ分野・医療分野の現状と動向

昭和電線は、電気伝導率に優れた銀と銅を組み合わせ、そこに細さと強度を加え、モビリティと医療の両分野に向けて高品質な銅銀合金線を提供している。今後ますます需要が高まる両分野の実態と動向を紹介する。

自動車の価値観に強く求められるものは、CO2排出抑制の観点からの「環境性」と、自動運転を見据えた「機能性」だが、もう一つ忘れてはいけないのは走行時の「快適性」だ。今後、運転の完全自動化が実現しても、ユーザーはクルマを単なる移動手段と捉えるだけでなく、移動中の快適性も強く求めるだろう。そこで、運転者や同乗者の車内における快適性を追求する車載電装品が注目されている。シートヒーターやステアリングヒーターは、銅銀合金を使ったヒーター線で身体に触れる部分だけを暖めるため、カーエアコンに比べて車内が快適だという声が多い。ヒートポンプ技術の採用が進むEVやPHVなどの環境対応車では、シートヒーターやステアリングヒーターは、バッテリーの消費を軽減することにもつながり、快適性だけではなく環境性もさらに向上させるだろう。

医療分野に目を向けてみると、心臓疾患や脳疾患の治療方法として、先進的なカテーテル治療の進歩が著しい。心筋梗塞や狭心症の場合、症状が重い場合は開胸による手術が一般的だったが、今は足の付け根などから細い管を血管内に挿入し、狭くなった血管を広げるカテーテル治療が飛躍的に多くなってきた。この治療方法は患者の体力的負担を大幅に軽減し、早期の社会復帰を可能にする。また、カテーテルは、心筋梗塞の原因となる不整脈治療や脳血管内治療にも使われ、高導電性を生かした電気信号送信など、先進医療のさまざまな局面で活躍している。現在の医療用器具の一翼を担うカテーテルでも、銅銀合金の存在は欠かせないものになってきた。

快適なドライビングシーンと先進医療の現場に、昭和電線の銅銀合金線

EVやPHVでは、走行そのものに電気を使うので、暖房を使った冬季の運転ではバッテリーの消費が増えるため、車内全体の空気を暖めてしまうカーエアコンの使用はできるだけ避けたいところだ。そうした課題を解消したのがシートヒーターやハンドル用のステアリングヒーターである。これらの車載電装品は、暖房より圧倒的に少ない電力で暖かさを得られ、温風が身体に当たらないので乾燥や不快感もない。
また、医療現場では、患者の負担を軽くするカテーテルや内視鏡が、治療・検査方法として多く取り入れられるようになるにつれ、それらの器具の信頼性、安全性や機能性の向上が一段と求められるようになってきた。
昭和電線は、車載電装品、医療用カテーテルに使われる高品質の銅銀合金線を開発し、両分野に貢献している。

モビリティ用ヒーター線に銅銀合金が選ばれる理由

ヒーター線の機能で求められることとして電気伝導と屈曲性がある。それらの利点がある二つの金属「銅と銀」を組み合わせてつくるヒーター線は、相反するこの2つの特性に優れていると言って良い。長時間にわたって「人が座る」「人が握る」という行為で加わる力に耐えられるだけの強度と屈曲性も求められるのだ。当社の銅銀合金線は、純銅の3倍以上、最大1700MPaの強度があり、しかも10倍以上の屈曲特性を実証している。このような背景から、ヒーター線が使われるモビリティ分野は自動車だけではなく、オートバイのスロットルや座面、電動自転車、電動車椅子などにも広がっている。

先進医療で活躍するカテーテルに昭和電線の銅銀合金線が選ばれる理由

腹腔鏡やカテーテルは患者の負担を軽減する治療方法として脚光を浴びているが、特に心臓カテーテルは、頻脈性不整脈のアブレーション治療が標準になっていることから広く普及してきた。しかし、細い血管内を延々と進んでいくためには、治療時の安全性の面からも「細くて強い」カテーテルが要求される。同時に、複雑に曲がりくねった血管内では「屈曲性」も求められるのだ。一方、治療前の診断という点で、内視鏡カテーテルには、センサーカメラ用、ライト用の電流も必要なため「導電性」も要求される。これらの要件を満たすのが、銅銀合金を使ったカテーテルで、当社はその加工技術と製造設備で医療分野に貢献している。

また、より強度を追求するなら銅ベリリウム合金のカテーテルもあるが、ベリリウム自体が欧州では規制対象物質になっており、人体に及ぼす影響が懸念される。そのため、銅銀合金への注目度が高まり、今後もその傾向は続くと考えられる。

強度と高導電率のバランスチャート
強度と高導電率のバランスチャート

独自の技術製法で様々な分野に普及。
銅銀合金の活躍範囲の拡大に期待を込める。

銅と組み合わせる金属として、強度を追求するために、銀以外に錫・黄銅・ベリリウムがあげられる。しかし、銀は、室温では金属の中で最も高い電気伝導率を持ち、しかも、わずか1グラムが約2,200メートルまで伸ばせる延性にも優れているのだ。当社は、銅と銀の組み合わせバランスと、毛髪よりも細い線に加工できる技術製法を取り入れ、モビリティ分野と医療分野に参入。両分野の将来性を担う製品開発に大きく貢献している。

参入分野はそれだけにとどまらず、銅銀合金線が何度も繰り返される屈曲動作に耐えられることの優位性を生かし、電子部品産業や産業用ロボット分野でも活躍範囲が広がっている。特に小型・高性能化が進む産業用ロボットに使われるケーブルは、業界基準に定められた屈曲回数をクリアしているが、今後その基準が引き上げられることで、より強靱さが要求されるため、銅銀合金線に対する期待度は高い。このように、当社の技術力と品質の高さを発揮できる分野が拡大している。