当社グループ製品の品質試験の不整合に関する調査結果の報告について

2021年10月29日

会 社 名 昭和電線ホールディングス株式会社
代表者名 代表取締役社長 長谷川 隆代
(コード番号 5805 東証第1部)
問合せ先 常務執行役員 経営戦略企画部長 小又 哲夫
(TEL.044-223-0520)   
当社グループ製品の品質試験の不整合に関する調査結果の報告について

 本年7月21日にお知らせいたしましたとおり、当社は、当社子会社の昭和電線ケーブルシステム株式会社(代表取締役社長:川瀬幸雄)が過去に製造および販売いたしました製品の一部について、社内調査により、お客様との間で定められた試験方法と異なる方法により試験を行っていた事実が判明したことを受けて、7月21日に特別調査委員会を設置し、事実関係ならびに原因について調査を進めてまいりました。当該調査の結果と再発防止策についてお知らせいたします。
 本件につきまして、お客様をはじめ関係者の皆様に多大なご迷惑とご心配をおかけしたことを、改めて深くお詫び申し上げます。
 今後は、品質管理体制の強化ならびに品質監査とコンプライアンスの徹底を図ることにより、再発防止と信頼の回復に向けて全力で取り組んでまいります。

1. 調査の経緯
 2021年2月、外部から昭和電線ケーブルシステム株式会社が製造および販売する製品の品質管理に関する指摘を受け、当社において社内調査を実施した結果、昭和電線ケーブルシステム株式会社が過去に製造および販売した鋼心アルミニウムより線および硬アルミニウムより線について、お客様との間で定められた方法による試験を実施していないことが判明いたしました。
 これを受けて、当社グループでは、外部から指摘を受けたすべての製品(上記製品の他に社内調査においては問題が確認されなかった製品を含む7製品、以下、「調査対象製品」といいます。)について、改めて客観的な調査を行うために、外部の専門家である弁護士を委員長とする特別調査委員会(委員長:西谷 敦 アンダーソン・毛利・友常法律事務所 外国法共同事業 パートナー弁護士)による調査を進めてまいりました。調査対象の7製品は、①鋼心アルミニウムより線および硬アルミニウムより線、②水密形屋外用架橋ポリエチレン絶縁電線、③分岐付きケーブル、④600V CVケーブル、⑤600V CVVケーブル、⑥600V VVFケーブル、⑦6600V CVTケーブルとなります(調査対象製品の概要については、「【ご参考】調査対象製品の概要」をご確認ください。)。
 なお、上記7製品の内、③~⑦の5製品については、特別調査委員会とは別に調査委員会(委員長:西垣 建剛 弁護士法人GIT法律事務所 代表社員・パートナー弁護士)を設置し、調査を委嘱しました。いずれの調査も、外部の専門家である弁護士を委員長とする委員会の下、従業員等に対するインタビュー、社内アンケートおよびメールデータ等のデジタルフォレンジック調査を行っております。

2. 調査結果の要旨
 特別調査委員会および調査委員会による調査結果の要旨は以下のとおりです。なお、いずれの製品につきましても品質の健全性について問題がないことを確認しております。

(1)鋼心アルミニウムより線および硬アルミニウムより線
 特別調査委員会において従業員および元従業員に対してインタビューを行った結果、本製品については、形式試験および立会試験を除く出荷試験において、1991年頃から抜き取り試験自体を行わずに過去の試験で得られたデータを流用するようになり、2002年頃からは徐々に定められた試験を行うようになったものの、規定の抜き取り試験数に満たない試験数で試験を行っていたとの証言がありました。
 より線の引張荷重試験についても、形式試験および立会試験を除き、1991年頃から試験自体を行わずに過去の試験で得られたデータを流用するようになり、2002年頃からは徐々に定められた試験を行うようになったものの、素線を使った強度計算で試験を行っていたとの証言がありました。また、より線の構造試験については、2012年頃から出荷試験では行わずに製造工程内検査でのデータを用いていたとの証言がありました。
 なお、これらの不整合については、いずれも2018年9月に昭和電線ケーブルシステム株式会社において自主的に是正されたことが、社内調査と同様に、特別調査委員会の調査においても確認されました。

(2)水密形屋外用架橋ポリエチレン絶縁電線
 特別調査委員会において従業員および元従業員に対してインタビューを行った結果、本製品については、1994年の形式試験において、雨水浸入防止性試験を規定された時間に満たない時間で行っていたとの証言がありました。なお、1999年以降の形式試験については、所定の試験方法により試験を実施していることが、特別調査委員会の調査において確認されました。
 また、1994年頃から、本製品のピッチ測定試験を出荷試験では行わずに製造工程内検査でのデータを用いていたことが分かりましたが、これについては、今後も製造工程内検査のデータをもって出荷試験データとすることとさせていただきました。

(3)上記以外の調査対象製品
 上記(1)(2)以外の対象製品については、お客様との間で定められた試験方法と異なる方法による試験の不整合および品質の健全性に係わる問題は確認されませんでした。
 ただし、2004年4月から同年11月までに製造された一般民需用600V CVケーブルで2008年に架橋不足による絶縁体の応力割れが生じたことについて、JIS規格の要求特性は満たしており仕様上の問題はなかったものの当時の材料設計のプロセスにおいて品質に対する深慮が十分ではなかったとの指摘を調査委員会から受けました。
 また、一般民需用6600V CVTケーブルについて、社内で定める品質管理工程表の耐圧試験方法の一部が現状の手続きとの齟齬があり、現状に合わせて工程表の記載を更新する必要があるとの指摘を調査委員会から受け、当月更新いたしました。

3.原因分析
 今回の調査結果を受けて、当社といたしましては、品質試験の不整合が発生した原因は、主に以下の要因によるものと認識いたしました。
(1)当時における改ざん等を防止するシステムの未整備や従業員の長期固定化、監督機能の不全、教育制度の欠如といった「組織・制度上の要因」
(2)品質保証部門全体での人員不足や業務負荷の増加といった「品質管理業務をめぐる環境的要因」
(3)コンプライアンス意識が希薄であったことなどの「従業員の主観的・属人的要因」

4.再発防止策
 「3.原因分析」を踏まえて、以下の項目を中心に、今後速やかに再発防止策を実施してまいります。

(1)会社全体の組織・制度上の要因に対する対応策
① 試験結果の自動測定システムの早期導入
既に一部の部署においては、試験結果を自動的に測定して試験データの改ざん等を防止するシステムが導入されていますが、未導入の部署においても、同様のシステムの導入を早急に進めてまいります。
② 適切な人事ローテーションの実施
検査現場の従業員についても、長期間、同一部署に固定するのではなく、本人の希望も十分に尊重しながら、定期的に他部署等へ異動させるなどし、可能な限り適切な人事ローテーションを実施してまいります。
③ 品質保証部門の独立性確保の促進および監督機能の強化
既に品質保証部門は事業部から独立した組織となっておりますが、必要な予算配分や人員配置、品質保証部門を担う従業員としての意識の確立などにより、品質保証部門の独立性確保をより一層促進してまいります。また、併せて品質保証部門の課長やスタッフによる適切な監視・監督機能を強化し、業務の透明性を高めてまいります。
④ 業務フローの遵守徹底
顧客に提出する試験成績書の確認プロセス等、業務フローの遵守を徹底してまいります。

(2)品質管理業務をめぐる環境的要因に対する対応策
① 品質保証部門全体での人員確保および定期的な見直し
品質保証部門全体に対して必要な人員配置を行うため、各製品の検査に必要な工数を算出するとともに、各製品の製造量から必要な人員を算定して、品質保証部門全体の人員を適正に確保してまいります。また、業務量の増減等に対応できるよう人員配置について定期的な見直しを行ってまいります。
② 検査標準の見直し
検査標準については、検査員が検査現場で規定された抜き取り数などを理解しやすい表記に見直してまいります。

(3)従業員の主観的・属人的要因に対する対応策
① 品質保証部門の根幹業務および仕様書の規格遵守に関する意識の確立
品質保証部門の従業員のコンプライアンス意識を確立するため、トップメッセージの発信や、他社の品質不正事例等を踏まえたコンプライアンス教育の実施などを定期的に行ってまいります。
② 体系的な教育制度の整備および実施
製品の規格に対する認識を高めるため、主要製品の規格や検査手順等について体系的な教育制度を整備し、品質保証部門の検査現場に配属された全従業員に対して教育を実施してまいります。

5.業績への影響
  本件による業績への影響につきましては、軽微と判断しております。

6.今後の対応
 本日までに当社グループは、お客様に対して今回の調査結果として確認された不整合の内容と再発防止策をご報告するとともに、いずれの製品についても品質の健全性については問題がないことを、ご説明させていただきました。
 また、今回の報告をもって委員会による調査は終了し、再発防止策の実施を速やかに進めてまいります。なお、今回の調査対象製品以外の製品についても、当社グループは、品質に対する信頼性をより高めるために引き続き調査を行ってまいります。
 本件に関して、お客様をはじめ関係者の皆様に多大なご迷惑とご心配をおかけしたことの責任を重く受け止め、昭和電線ホールディングス株式会社および昭和電線ケーブルシステム株式会社の代表取締役社長は、次のとおり役員報酬の一部返上を本年11月より行うことといたしました。

 昭和電線ホールディングス株式会社 代表取締役社長 長谷川 隆代 20%(3カ月)
 昭和電線ケーブルシステム株式会社 代表取締役社長 川瀬 幸雄  10%(3カ月)

 当社グループは、再びこのような事態が発生することがないよう、品質管理体制の強化と品質監査の徹底に取り組み、当社グループおよび当社グループ製品の信頼回復に努めてまいります。

以上

【本件に関するお問合わせ先】

昭和電線ホールディングス株式会社 経営戦略企画部 戦略課 IR・広報グループ
TEL:044-223-0520 FAX:044-223-0547

当社グループ製品の品質試験の不整合に関する調査結果の報告についてPDF


【ご参考】調査対象製品の概要
製品名 製品概要
① 鋼心アルミニウムより線および硬アルミニウムより線

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複数のアルミニウム線(素線)をより合わせた構造となっており、鋼心アルミニウムより線は、強度を高めるために中心により合わせた鋼線が入っております。
主な用途は架空送電線用で、昭和電線ケーブルシステム株式会社の仙台事業所で製造されております。

② 水密形屋外用架橋ポリエチレン絶縁電線

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配電用の電線で、導体素体の隙間および導体と絶縁体の隙間に雨水等の侵入を防止するための水密混和物が充填されています。
主な用途は電柱間などの高圧架空配電線路における配電用で、昭和電線ケーブルシステム株式会社の仙台事業所で製造されております。
③ 分岐付きケーブル

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あらかじめ分岐線を接続しモールド絶縁したケーブルです。
主な用途は建物やトンネル照明等の配線用で、主に他社に製造委託しております。
600V CVケーブル

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低圧ケーブルの一種で、絶縁体の部材であるポリエチレンに化学的処理を施すことで、高分子の分子鎖を網目状に結合(架橋)させ、耐熱性を向上させています。
主な用途は一般工場や建屋内の配線用で、昭和電線ケーブルシステム株式会社の三重事業所および茨城工場で製造されております。
600V CVVケーブル

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制御用ビニル絶縁ビニルシースケーブルと呼ばれる製品であり、信号伝送に使用されます。
主な用途はエアコンの信号線、自動制御配線、計測機器配線等の制御用ケーブルとして用いられており、主に昭和電線ケーブルシステム株式会社の三重事業所で製造されております。
600V VVFケーブル

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ビニル絶縁ビニルシースケーブル平形と呼ばれる製品であり、主な用途は屋内の低圧配線用で、2020年まで昭和電線ケーブルシステム株式会社の茨城工場で製造されておりました。
6600V CVTケーブル

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6600V CVケーブルは、高圧ケーブルの1種で、6600V CVTケーブルは6600V CVケーブルを3本より合わせた製品です。
主な用途は電気工事等で用いられており、昭和電線ケーブルシステム株式会社の三重事業所および愛知工場で製造されております。なお、今回指摘を受けた一般民需用6600V CVTケーブルは三重事業所において製造されております。