Advancecase02

車載ネットワークの進化を支える
高機能伝送ケーブルの力強い存在

人を助ける自動運転技術がますます普及

100年に一度の変革期の真只中にある自動車業界で、2020年は自動運転の進化が著しく進むと言われている。現在はレベル1「運転支援」、レベル2「部分運転自動化」の普及が進んでいるが、2020年以降は特定の場所においてシステムが全てを(但し緊急時はドライバーが操作)するという「条件付き自動運転」のレベル3が実現するといわれている。

また、2020年以降は、車を取り巻く環境、つまり周囲の監視カメラやネットワークインフラが今よりも充実することで、高速道路専用レーンなどの特定エリアに限り、システムが全てを操作する「高度自動運転」のレベル4を経て、2030年以降の「完全自動運転」のレベル5へ向けたロードマップが示されている。

運転自動化レベルの定義と実現目標時期
レベル 概要 実現目標時期
レベル0 運転自動化
なし
・運転者が全ての動的運転タスクを実行 -
レベル1 運転支援 ・システムが縦方向又は横方向のいずれかの車両運動制御のサブタスクを限定領域において実行 -
レベル2 部分運転
自動化
・システムが縦方向及び横方向の車両運動制御のサブタスクを限定領域において実行 -
レベル3 条件付き
自動運転
・システムが全ての動的運転タスクを限定領域において実行
・作動継続が困難な場合は、システムの介入要求等に適切に応答
2020年
以降
レベル4 高度
自動運転
・システムが全ての動的運転タスク及び作動継続が困難な場合への応答を限定領域において実行 2025年
以降
レベル5 完全
自動運転
・システムが全ての動的運転タスク及び作動継続が困難な場合への応答を無制限に(すなわち、限定領域内ではない)実行 2030年
以降

内閣官房IT総合戦略室 官民ITS構想・ロードマップ2019 より

そこで、現時点の自動運転支えるADAS(先進運転支援システム)で注目されるのがセンシングやビューイング技術だ。レーダやLiDAR(ライダー)をはじめ、従来からバックモニタ用に搭載されていたカメラは、車体のさまざまな部分に搭載され、視覚情報を取り込む"車の目"として大きな役割を果たす。カメラは、衝突回避、衝突被害軽減ブレーキ、追従走行、レーンチェンジアシスト、車線逸脱警報といったADASの機能の追求に欠かせない存在になり、 "目"から受けた大量の情報処理スピードが問われるようになる。

車載高速伝送を追求したケーブル

カメラで受けた情報を伝送するには車載用の高速伝送ケーブルが必要になるが、一般的には同軸ケーブルとツイストペアケーブル(※)が使用されている。同軸ケーブルは安価でコネクタ加工が簡単などの利点があるが、ノイズの影響を受けやすく屈曲にも弱いとされる。一方、ツイストペアケーブルはノイズや屈曲性に強く、大量のデータを高速で安定的に伝送できることが利点だ。これからの車載高速伝送ケーブルを考えた時、情報の多さ、伝送スピード、耐久性など、高いレベルの性能が要求されることは間違いなく、ツイストペアケーブルは自動車メーカーや周辺部品メーカーの要求を満たす存在として、その価値が高まっていく。

※ツイストペアケーブルの中でも、シールド付きのツイストペアケーブル(STP)が使用されていたり、4心撚りのシールド付きツイストクアッドケーブル(STQ)が使用されることもある。

車載カメラの高画素化・高機能化

車載カメラにはモニター表示を行う標準装備としてのビューイングカメラと、ADASの機能に不可欠なセンシングカメラがある。センシングカメラには従来から高い画素が要求されているが、天候条件が悪い時でも精度の高い撮影が求められるなど、今後はビューイングカメラも画素数を上げる傾向にある。

撮影した映像がますます高画素になるにと、現在の2倍・3倍以上の高速伝送技術が求められ、伝送媒体としてのケーブルも、より高速なものが必要になる。また、車載カメラは今後、車のさまざまな位置に搭載されるため、ケーブルはノイズを強く受ける部分や、多く可動する部分に配線することになる。そのため、ケーブルは配線箇所に応じて耐ノイズ性や、屈曲・捻回などへの強度が求められる。

平衡系・差動系ケーブルの特長

ツイストペアケーブルは、一般的に平衡系・差動系信号を用いた伝送方式が使用されている。平衡系・差動系信号は、片方の線にプラス信号をもう一方の線にマイナス信号を送りその差分を出力する方式であるため、高速性に優れ、信号が安定し、ノイズに強く、消費電力が小さいというメリットを持っている。特に差動信号の一つであるLVDS信号は、低電圧差動信号(Low Voltage Differential Signaling)と呼ばれ、産業分野や車載分野の高速伝送に使用されている。

伝送方式の違い
伝送方式の違い

車載用ケーブルの特長

ツイストペアケーブルは、導体や撚り方を調節することで、ケーブルの高周波性を改善し、高速性を上げることができる。また、導体構造や各部の材料を変えることで、ケーブルの屈曲性を上げることが可能となる。さらに、ケーブルに遮へい層を追加することで、よりノイズに強いケーブルを実現する。ツイストペアケーブルは線を撚ることで空壁が生まれ、緩衝的な役割を果たすので屈曲性に優れている。また、車載用と産業用との違いとして環境温度の変化に対する耐久性も勘案する必要があり、特に低温での屈曲が求められるので、車載用ケーブルは産業用より厳しい条件をクリアしなければならない。

ケーブルの構造
ケーブルの構造

車載ネットワークの高速化

自動車の高機能化により、年々増加する車内ワイヤハーネスの回路数低減や軽量化のため、1980年台に車内LANが導入され、現在では安全系・制御系・情報系ごとに、CAN・LIN・Flex Rey・MOSTなどの標準ネットワーク規格が制定されている。
2010年以降、より高速なネットワーク規格として車用Ethernetが登場し、伝送速度100Mbpsの100BASE-T1や、1Gbpsの1000BASE-T1の規格が制定され、それらを搭載している車も登場した。現在は将来に向け伝送速度10Gbpsの(あるいはそれ以上高速な)規格化が進められており、車載ネットワークはまずます高速化することが想定され、高速伝送が可能なケーブルがますます脚光を浴びるだろう。

車載ネットワークイメージ
車載ネットワークイメージ

技術力とマーケティング力で、車載カメラ用ワイヤーハーネスの未来に貢献する

自動運転レベルの4または5が目前になると、カメラなどのセンサで受けた情報を車の命令系にスムーズに送らないと事故につながるため、自動車メーカはデータ伝送技術に磨きをかける。当然のことながら、高速・大容量伝送の神経系統をつかさどる車載伝送用ケーブルの重要度は高まり、車載ネットワーク全体という見地からも、より高機能で高品質な車載伝送用ケーブルが要求されることは間違いない。

自動車メーカのみならず、センサメーカなどが気付いていないケーブル独自の品質が、ADASの進化に大きく影響することも必須なので、高度なケーブル技術による高品質な車載伝送用ケーブルが注目を集めるとともに、市場への登場が期待されている。