世界初、流動溶融銅用酸素センサを共同開発、実用化に向けて

昭和電線ケーブルシステム株式会社
株式会社TYK

世界初、流動溶融銅用酸素センサを共同開発、実用化に向けて

-高機能無酸素銅MiDIP®製造に技術革新、年内の実用化を目指す-

 昭和電線ケーブルシステム株式会社(本社:神奈川県川崎市、取締役社長:川瀬幸雄(以下、「CS」))*1は、株式会社TYK(本社:東京都港区、代表取締役社長 牛込伸隆)*2と共同で、流動溶融銅中に含まれる極微量酸素濃度の測定が可能な酸素センサを開発し、世界で初めて流動溶融銅中における低酸素濃度の測定を長時間運転することが可能であることを実証しました。開発した酸素センサは、CS三重事業所に設置している「高機能無酸素銅MiDIP®*3(以下、MiDIP®、図1)」を製造する装置「ディップ・フォーミング・システム(図2)」に組込み、年内の実用化を目指します。
 酸素センサを実用化することで、CSのMiDIP®の品質向上を図り、中期経営計画で掲げている50%増産に寄与します。これにより、多くのお客様に安定供給が可能となるとともに、車載分野での販売量拡大を目指します。また、本センサを実用化することで、エネルギー消費や発生二酸化炭素(CO2)の削減にも貢献いたします。

1.開発背景
 近年、電気自動車の普及ならびに電子機器の高性能化に伴い、高機能な無酸素銅*4
の需要が高まっており、MiDIP®の品質を安定させて生産量を増やしていくことが求められています。MiDIP®の製造装置であるディップ・フォーミング・システムは、電気銅を溶解し、流動溶融銅の状態で成分調整を行います。その過程において変動している溶融銅の酸素濃度を連続的に把握することが課題のひとつとなっていました。


2.今回の成果
 今回開発した酸素センサは、部分安定化ジルコニア(PSZ)式高温用濃淡電池型酸素センサ(図3)と呼ばれるもので、流動溶融銅中の極微量酸素を酸素濃度1ppm以下の精度で連続かつ長時間の測定が可能となりました。ラボレベルでの検証を経て実機での検証に成功したことで、実用化への目処が立ちました。
本センサがディップ・フォーミング・システムに導入されることにより、定量的かつリアルタイムに酸素濃度の把握が可能になり、MiDIP®の低酸素状態の安定化に貢献します。


3.今後の予定
 開発された流動溶融銅用酸素センサを年内の実用化に向けて、本センサのディップ・フォーミング・システムでの長期実装試験を実施し、設計の適正化を行い、試運転あるいは実運用時にて再現性を確認して参ります。

*1 昭和電線ケーブルシステム株式会社:
*2 株式会社TYK (商号: 東京窯業株式会社): http://www.tyk.co.jp/
株式会社TYK は、2014年にタフピッチ銅*5用に高温用濃淡電池型水素・酸素センサの開発*6に成功し実用化に至っております。
*3 MiDIP®https://www.swcc.co.jp/jpn/products/detail/p_dip_1772.html
*4 無酸素銅: 酸素濃度10ppm以下の純銅材
*5 タフピッチ銅: 酸素濃度200~500ppm程度の純銅材
*6 プレスリリース「溶融銅用水素センサの開発に成功」
http://www.tyk.co.jp/01CompanyInfo/TYK_Press_Release_27Mar2014.pdf
MiDIPは昭和電線ケーブルシステム株式会社の登録商標です。

【本件に関するお問合わせ先】
○報道機関お問い合わせ先
 昭和電線ホールディングス株式会社 事業戦略統括本部 経営企画部 IR・広報課
  TEL:044-223-0520(代表) FAX:044-223-0547

 株式会社TYK 担当:加藤
  営業本部 営業開発本部 高機能材部
  TEL:0572-22-8151(代表) FAX:0572-22-0706

○技術に関するお問い合わせ先
 昭和電線ケーブルシステム株式会社 担当:小泉
  基盤技術開発部 先行技術開発課
  TEL:042-773-7163(直通) FAX:042-773-7291

 株式会社TYK 担当:大島
  機能材料研究所 水素社会デザインチーム
  TEL:0572-25-7181(代表) FAX:0572-24-3637

〈参考資料〉

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図1 高機能無酸素銅MiDIP®外観

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図2ディップ・フォーミング・システム概略図

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(陽極) ½O2(POH)+2e- → O2- (陰極) O2- → ½O2(POL)+2e-


図3 部分安定化ジルコニア式高温用濃淡電池型酸素センサの測定原理図


溶融銅中の酸素濃度は、センサ電極と流動溶融銅との間の起電力より算出される。
酸素センサには、イットリア(Y2O3)、マグネシア(MgO)、カルシア(CaO)などにより部分的に安定化されたジルコニア (ZrO2) 固体電解質が用いられている。そのジルコニアを介して酸素濃度に勾配が生じると起電力が生じるという原理が用いられている。

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