サステナビリティ担当役員メッセージ

サステナビリティ担当役員
執行役員 上條 俊春

2023年4月、昭和電線ホールディングス株式会社はSWCC株式会社に生まれ変わりました。1936年の創業以来、社会のインフラを支える企業として電線・ケーブルを中心とする製品を世の中に送り出してまいりました。「いま、あたらしいことを。いつか、あたりまえになることへ。」という新会社のパーパスは、時代が変わっても、社会に必要とされる会社であり続けるための役職員一同の決意表明でもあります。これまでも、そしてこれからも、世の中の課題に向き合いながら、時代の要請にしっかり応えていきたいと考えております。
 新会社発足に合わせ、当社では戦略本部を設置し、事業戦略、財務戦略、そしてサステナビリティ戦略を一つの部門で集約して担当する体制としました。これは、社会への価値提供により企業価値を向上させていく事業戦略、会社としての存在を揺るぎないものにする財務戦略、そして社会と調和し共に成長していくサステナビリティ戦略は三位一体で考えるべきであり、それぞれが有機的に結びつくことが、極めて重要との認識によるものです。
 その中で、サステナビリティ戦略については、2022年に私がサステナビリティ担当役員に就任し、以下の体制整備や施策の展開を図ってまいりました。第一に「サステナビリティ委員会」の設置です。同委員会は取締役会の諮問機関として機能し、サステナビリティに関する諸課題を幅広く議論しております。その内容は取締役会に共有され、サステナビリティ課題に関する取締役会での検討のベースになっております。第二に「サステナビリティ基本方針」の策定です。「SWCCグループは、信頼とイノベーションにより、『社会課題の解決』と『企業価値向上』を図り、サステナブルで豊かな未来社会をつくります。」という基本方針には、社会インフラを支える使命とコミットメントが込められております。この基本方針のもと、以下の5つのステートメントで弊社が重要と考える具体的な取り組み方針を示しております。

  • 優れた技術とイノベーションを通じ、お客様へ高い品質の製品・サービスを提供します。
  • クリーンでグリーンなエネルギーの普及を図り、地球環境の保全に努めます。
  • 「共感」「共存」「共栄」の精神で、地域やバリューチェーンとのつながりを大切にします。
  • 個性や多様性を活かした働き方を推し進め、エンゲージメントの向上を図ります。
  • 役職員の人間性と倫理観を高め、良き企業文化を醸成します。

 第三の取り組みはマテリアリティ(重要課題)の特定です。上記5つの具体的取り組み方針に沿って「みらいを創る」「地球にやさしい」「ともに生きる」「ひとが輝く」「より良き企業に」の5つのテーマを設定しました。設定に当たっては、若手も含めた社員はもとより、機関投資家、弊社工場のある地方公共団体、お客様にもアンケートでご意見をお伺いし、弊社が取り組むべき課題についての取締役会での議論の参考とさせていただきました。5つのテーマには合計16のKPIが設定され、所管部署による施策の展開や進捗管理が行われています。このKPIや施策は経営戦略全般との整合性がチェックされ、これを推し進めることにより、事業戦略や財務戦略との相乗効果が生まれております。

今後取り組むサステナビリティ施策でありますが、2050年に環境負荷ゼロを目標とする環境中長期計画「Green Plan 2050」の達成に向け、全社横断的なプロジェクトチーム「Green Energy Project」の活動を加速させてまいります。具体的には2025年までのCO2排出量削減を2013年度対比45%とする目標達成に向け、国内外の製造拠点におけるPPAの推進、カーボンニュートラルなエネルギー調達促進、新技術による環境負荷の低い設備の導入等を進めてまいります。また、自社のみならず、サプライチェーンでつながった各企業の皆様との連携強化を図り、Scope3への対応を含め、サステナブルな企業活動ができるよう取り組んでまいります。人的資本への取組みについても、経営戦略と整合した人事戦略の展開を図り、従来以上にダイバーシティ&インクルージョンを進め、女性やキャリア採用人材の活躍を経営に取り込むことで、成果に結び付けてまいります。女性活躍推進PJとしてスタートした活動をダイバーシティ全般に拡大し、次のステージにつなげていくことも考えております。また、ガバナンスの観点では、取締役会による監督強化はもとより、リスク・コンプライアンス施策の充実で、よりレジリエントな組織へと体制強化を図ってまいります。リスクマネジメント委員会を中心に、さまざまなリスク事象をあらかじめ想定し、これに備えることで、事業活動への影響を軽減できるよう取り組んでまいります。
サステナビリティ担当役員として、こうした非財務分野への取組みが事業や財務に具体的にどのようにインパクトを与え、将来の企業価値向上につながっていくのかを、より明確に投資家の皆様にご提示することが非常に重要であると認識しております。今後も積極的な情報発信に努め、投資家の皆様との情報の非対称性を可能な限り小さくし、私どもの取り組みが企業価値向上ストーリーとしてご理解いただけるよう努めてまいります。

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